生産性とは、OUTPUT÷INPUTで、どれだけの投入(in)で、どれくらいの産出(out)を得たかということである。
例えば、付加価値100を得るにあたり、4名で成し遂げたとすれば、100÷4名=25(これを労働生産性という)になる。
<間違った用語の使用>
まず、付加価値は企業が生みだした真の価値であるが、分母の投入もまた「価値」なのである。一人当たりという人間(という価値)が、どのくらいの付加価値を生みだしたかという意味においては間違いなく「価値」である。
よく合計の付加価値を現在の総投入価値で割って生産性を出すが、これは正しい使い方とはいえない。
先の、一人当たり付加価値が100÷4人=25というときに、付加価値を30増やそうとして、2名増員すれば次のようになる。
(100+30)÷(4人+2人)=130÷6名=21.66となり、
これまでの25(1人当たり)より3.3も悪化することになる。
そこで上司が「これを25いや、経費が上がるから26以上にせよ」と命令・指示を出したとしても社員にとっては大変な重荷になり労働強化やブラック企業になるかもしれないのである。
<正しくは増分生産性の向上>
それでは正しい生産性向上に対する考え方はどうであろうか。
まず「過去は変えられない」のであるから、 これからの将来の生産性向上を考えることとする。
すると、先の例でいえば、
増分付加価値30(out)を生み出すために、2名増員したのであるから、 増分(⊿と記す)付加価値⊿30を増分投入価値(⊿2名)で割れば良いのである。
⊿30÷⊿2名=⊿15となるので、これまでの25(1名)よりも10も悪化したことになるのである。
<生産性向上は全社員で行う未来決定の鍵>
例えば、増分30を1名で達成することができたならば、 労働生産性は25よりも5上昇することになる。
そして、結果としてみれば、企業の総合計付加価値は130となり、それを5名で達成したのであるから、労働生産性は現在の25よりも1改善された26となるのである。
(今後の意思決定のより過去も変えることができる)
このような改善努力と損益感覚というものを、企業内に定着させて意思決定を経営者だけでなく、社員全員が行っていく。 それが「生産性向上」の真の意味である。
これまでは過去からの蓄積(生産性数値)をすべて曲げても良くしようという強引な考え方で生産性を捉えてきた。
そのために命令と指示で強制したり、逆に生産性という重要なものを忌み嫌うという、相反するようでありながら、結果としてはどちらも満足できないという点では同じ迷路に迷い込んでいたのである。
<追記>
・合計の生産性を向上すれば事足りるという、短絡的な考え方で判断しないでほしいのである。
・増分という考え方が未来対応であり、結果として全体最適化を達成していくということ。
・生産性向上と同等に、働く人達や関係者すべての欲求を満たすという考えがより企業経営を発展させるという原理を知る、その「礎」としても重要なことである。
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